メイクセラピーは新しい概念であり、まだ「治療法」として確立されてはいません。
しかし近年、メイクの科学的な効果が注目を浴びており、介護施設や医療の現場での需要も高まっています。
容姿やメイクに対するこだわりには個人差があるため、メイクセラピストは個別の丁寧なカウンセリングによって、対象者とのコミュニケーションをはかりながら、施術していきます。
具体的には、メイクアップやネイル、スキンケアの相談に乗るなどしながら、最終的には自分でできるようになることを目指します。
高齢だから治療中だからといって身だしなみを疎かにするのではなく、生活習慣や現在の状況を見ながら、いかに普段の自分をとり戻してもらえるかを考えるのがメイクセラピストの仕事です。
メイクには心理的な効果があり、その効果がADL(日常生活動作)の改善へとつながるといわれています。
メイクやネイルをすることで、自己肯定感を持てるようになり、笑顔が引き出され、積極的に人と関わるようになり、活動的になって生活圏も広がっていくのです。
またフェイシャルマッサージは、手を動かすことがリハビリになります。
唾液の分泌が促され、筋肉のこわばりも取れて、人から声を掛けられやすくなるという効果もあるのです。
高齢者や治療者の生活の質を見るときには、生活に不可欠なことが優先されます。
しかし、そうでないものもまた重要です。
最後まで自分のことを自分で決め、自分でできることは自分で行い、自分らしく生きることを支えてゆくメイクセラピストの仕事は、高齢化社会の中で、今後、ますます必要とされるでしょう。